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新エネルギー・産業技術総合開発機構( NEDO )では、平成2年度から 通商産業省 の補助金等を受けて、地球環境産業技術研究開発事業に着手しました。この事業の一環として平成2年度から8年度まで「海洋中の炭素循環メカニズムの調査研究」(NOPACCS; Northwest Pacific Carbon Cycle Study)が開始されました。本事業は地球温暖化の主要因物質とされる、二酸化炭素の海洋における吸収と、その後の海中での挙動・循環について調査研究したものです。
化石燃料消費に伴う世界の二酸化炭素年間排出量は約70億トン(炭素換算)です。大気の二酸化炭素濃度計測値(現在値は約370ppm)の増加率から大気中の年間二酸化炭素増加量を推計すると、大気中に約30億トンが蓄積していることになり、残りの(約40億トン)二酸化炭素の内で約20億トンは主に海洋に吸収されているのではないかと推定されています。また海洋は大気の50倍以上の炭素のリバーザーでもあります。従って、海洋の吸収能力にどの程度余力があるのか、そして、二酸化炭素の吸収メカニズムはどのようになっているのかが、モデル計算や将来の温暖化の防止対策技術のために重要な問題となっています。
このため本調査研究では、海洋における炭素の循環メカニズムを定量的に把握するために、海洋における物理的な輸送過程、生物化学的な固定過程及び海底への堆積作用についてのデータを海洋調査により取得し、海洋における炭素の循環メカニズムを定量的に表現できる数値モデルを開発してきました。