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1.観測航海
年度 航海名 観測期間 データの有無 1990 NH90-3 1990. 8.22〜10.15 ×
1991 NH91-2 1991. 8.9〜10.7 ×
1992 NH92-1 1992. 4.15〜7.13 ×
NH92-2 1992. 8. 7〜10. 5 ○
1993 NH93-1 1993. 4.13〜 6.11 ○
NH93-2 1993. 8. 7〜10. 5 ○
1994 NH94-1 1994. 4.13〜 6.11 ○
NH94-2 1994. 8. 8〜10. 6 ○
1995 NH95-1 1995. 4.14〜 6.12 ○
NH95-2 1995. 8. 7〜10. 5 ○
(1) サンプリング方法
(注)*:CTD= Sea-Bird Electronics CTD System SBE-911plus RMS= General Oceanics Rosette Multi-Bottle Array System System 1015-12(12Lニスキン採水器、12本)
(2) 観測・分析方法
- a.船 位
- GPS(Global Positioning System)、NNSS(Navy Navigator Satellite System)により決定した。
- b.水 深
- PDR(Precision Depth Recorder)アナログ記録を直読した(未補正)。
- c.気 象・海 象
- 気温(Air Temp.)、気圧(Barometer)、風向(Wind Direction)、風速(Wind Speed)については、アッパーブリッジに取り付けたセンサーの記録を研究室で10分毎に自動記録(デジタル,アナログ)しており、各キャストの開始時の記録を直読した。
- 天候(Weather)、海況(Sea Condition)は目視により、前者は天気ビューフォート記号、後者はビューフォート風力階級表によった。
- d.採水深度(P),水温(T)
- 船上より採水信号を送った時のCTD記録(CTDは1秒間に24回の測定を行っており、採水信号を送るとその瞬間の値にマークがつき、その前後の値も含め取り出すことができる)を転記した。
- 表面海水の深度については0と表記し、温度は標準水銀温度計で採水直後に測定した。
- なお、航海NH92-2の中層(Middle)では、採水器に取り付けた防圧2本,被圧1本の転倒温度計から求めた。
- e.塩分(S)
- Guildline Instrument Autosal Model 8400Aを用いて電導度比較法により測定した。
- f.溶存酸素(DO)
- Radiometer VIT90, ABU91を用いて電位差滴定法(改良ウインクラー法)により測定した。滴定の終点は最終変曲点を二次微分により決定した。
- なお、航海NH92-2では、ハンドビュレットを用いて改良Winkler法により測定した。
- g.リン酸(PO4)
- NH95-1以前については、Hitachi U-1000を用いてモリブデン酸ブルー・アスコルビン酸還元法(比色)により測定した。NH95-2では、Continuous analyzer System Alpkem RFA-300を用いて、モリブデン酸ブルー・アスコルビン酸還元法(比色)により測定した。
- h.ケイ酸(Si(OH)4)
- Continuous Flow Analyzer System Alpkem RFA-300を用いてモリブデン酸ブルー・スズ還元法(比色)により測定した。 全データは標準物質であるSiO2(酸化ケイ素)に規格化された。
- i.亜硝酸(NO2)
- Continuous Flow Analyzer System Alpkem RFA-300を用いてスルファニルアミドによるジアゾ物質比色法により測定した。
- j.硝酸+亜硝酸( NO3+NO2 )
- Continuous Flow Analyzer System Alpkem RFA-300を用いてCu-Cdカラム還元後、NO2と同じ方法で測定した。
- k.アルカリ度(At)
- Radiometer VIT90 , ABU91を用いて塩酸溶液による電位差滴定法(25℃で測定)により測定した。終点は一次微分により算出した終点について、その前後8点の(滴定値の変化量/電位差(mV)の変化量)比を滴定値に対して一次回帰して、その直線の交点により決定した。
- l.pH
- Radiometer ION85 IONANALIZERを用いて密閉型セル内(1気圧,25℃)で電位差測定を行った。NBS(National Breau of Standards)とSWS(Seawater Scale)の2つのスケールで測定した。
- m.全炭酸(ΣCO2)
- Shimadzu GC-14Aを用いてリン酸ーヘリウムパージGC-TCD法により測定した。
- n.クロロフィルa量(Chl.a)
- 1Lのサンプルを10μm、3μm、1μmのNucleoporeフィルターとWatman GF/Fフィルターに順次濾過し、それぞれのフィルターについてジメチルホルムアミドで抽出し、Turner Designs Fluorometer (NH93-1以前では10-005、NH93-2以降では10-AU)を用いて蛍光光度を測定した後、4種のフィルタでの測定値を合計した。
(3) データの処理
- a.単位の換算
- DO,PO4,Si(OH)4,NO2,NO3+NO2,At,ΣCO2については、重量ベースで表示した。重量換算に用いた密度は、DOでは採水時の温度、その他の項目は測定時の温度(25℃)と塩分(Autosal)により算出された。
- なお、上記の水温,塩分が欠測の場合には、別な方法で密度を求めたが、その方法は、各測点別結果表の欄外に記載した。
- b.データ確定とデータ管理の方法
- 1990 年度から1995 年度の水質データと CTD データは全て十分な品質管理が行われた。この作業は NOPACCS 実施委員会の中に設けられたデータ品質管理ワーキング・グループ(リーダー:坪田博行)により行われた。 ワーキング・グループのメンバーはこのデータセットの5. 3に記されている。 ワーキング・グループは最終的に、1992 年の 2 次航海以後の 7 航海について水質データと CTD データを公表し、他のもの、すなわち、1990 年から 92 年度 1 次航までは精度が劣るので、公表しないこととした。
- 水質データシート中の各項目の有効桁数は、同じサンプルの繰り返し測定と複数サンプルの分析及び一航海中のレグ間・航海間の相互比較を通じて得られた、分析精度に基づいて決められた。各項目の有効桁数は、下表に示すとおりである。なお,水温(T)の浅海(CTDにより測定)と塩分(S)については、有効桁数は小数点以下3桁までだが、小数以下5桁目を切り捨て4桁目まで記載した。得られたデータの品質保証は精度に基づいてなされた。繰り返し測定と複数サンプルの分析値があまりにも散らばっているようなのは破棄した。
項 目 単 位 有 効 桁 数 P 104Pa (db) 小数点以下1桁(四捨五入) T ℃ 表面海水:小数点以下1桁,NH92-2のMiddle:小数点以下2桁,その他:小数点以下4桁(切り捨て) S − 小数点以下4桁(切り捨て) DO μmol/kg 有効桁数4,小数点以下1桁(四捨五入) PO4 μmol/kg 有効桁数3,小数点以下2桁(四捨五入) Si(OH)4 μmol/kg 有効桁数3,小数点以下1桁(四捨五入) NO2 μmol/kg 有効桁数2,小数点以下2桁(四捨五入) NO3+NO2 μmol/kg 有効桁数3,小数点以下2桁(四捨五入) At
μeq/kg 有効桁数4,整数桁(四捨五入) pH − 小数点以下3桁(四捨五入) ΣCO2 μmol/kg 有効桁数4,整数桁(四捨五入) Chl.a μg/l 有効桁数2,小数点以下3桁(四捨五入)
データの確度の見積もりには次の三つの方法がとられた : 第一は相互検定ワークショップへの参加であった。 第二は共通の標準物質の使用と保証参照資料の入手であった。第三は海洋深層を繰り返し観測することであった。海洋深層は、分析結果の同定が可能な程度に安定であると考えられた。毎航海、定点で繰り返し観測が行われた。この目的のためには 30 ゜N -175 ゜Eの点が選ばれた。
この点は日本から比較的近くここに立ち寄るのにコースを曲げる必要はなく水深も約 5400m で分析結果の比較に十分であった。分析結果を比較するに当たって、例えば、栄養塩濃度を深度に対してプロットすると分布パターンは航海毎で一致しないが、σθに対するプロットはよく一致した。
分析データの品質管理には以下の方法が用いられた: 採水の確認には、採水器塩分と CTD 記録の塩分とを比較した。DO データの確認には、鉛直分布パターンを CTDO のそれと比較した。滴定 DO データが急に変わっているときにはそれが記録上にでているかどうかをチェックした。 DO センサーは正確さは落ちるが、分布パターンは信じられたからであった。 DO/θ も非常に効果的であった。 (NO3+NO2)と PO4 の確認にはN/P プロットの方が N-P 比の鉛直分布よりも鋭敏であった。 N/θ、P/θ プロットもまた有効であった。また、Si データの確認には、その鉛直分布に加えて、Si/θプロットもなされた。 DO 極小層以深では、N/DO と P/DO プロットもこれらのデータの確認に使われた。
全ての水質データはこのようにして比較検討され、分析ミスと判断されたデータは削除された。なお、判断のつけがたいデータには、水質データシート上にマークがなされた。これらのデータシートが JODC に送られた。
(4) 測点別結果表の説明
(1) ファイルの説明
ファイル名は、観測実施年と航海番号、測定層の区分、測点番号で表現されており、それぞれの対応については "FILENAME.TXT" にまとめた。また、各測点の位置、実施日などについては、HYDROGRAPHIC DATAフォルダーに記載のとおりである。
(2) データの説明
- a.データの取得
- SEA-BIRD社製のCTDを用い(詳細についてはHYDROGRAPHIC DATAフォルダーの記載を参照)、0.5m/secの速さでワイヤーを繰り出し、水中局を降下させ、測定した。
- 浅海域(0-300m)の観測では1秒間に24回、中・深層(0-3,000m、0-海底上)では、1秒間に6回の測定という設定でデータを取得し、次に示す処理を行い、1db毎の平均値としてまとめた。
- b.データの処理
- 次に示す順序、内容でローデータを処理し、とりまとめた。
- DATCNV ;取得したデータは周波数記録で、これをEngineering unitsに変換する。
- ALIGNCTD;Pressureセンサーに対するTemperature, Conductivityセンサーの応答時間のズレを補正する。
- 現使用のSBE911plusは、Temp.とCon.についてはハード、ソフトの両面ですでに補正されているので、ここでは時間差は0として、本ソフトにより処理した(実際には、何も処理していないことと同じ)。
- LOOPEDIT;センサーの降下速度が遅くなった時に取得されたデータを削除する。
- 0.3m/sec未満になっていた時に取得されたデータを取り除いた。
- BINAVE ;1db毎に平均する。例えば、30dbのデータは、29.5db以上30.5db未満の水深での測定結果が平均されたものである。
- DERIVE ;塩分値を計算する。
- ASCIIOUT;不要なデータを取り除き、テキストファイルに変換する。
(3) センサーのキャリブレーション
(1) ファイルの説明
ファイル名は、観測実施年と航海番号、観測層の区分で表現されており、表−1にその対応を全航海分まとめて示した。
(2) データの説明
a.サンプリング方法
浅海域(0-300m)のサンプリングは、他のHYDROGRAPHIC項目とは別に単独のキャストで行い、中・深層では同じキャストから分取した。方法については、HYDROGRAPHIC DATAと同じであるので、その項を参照のこと。
b.観測・分析方法
- (a) 船 位(Latitude,Longitude)
- (b) 採水深度(Por Depth),水温(T)
- (c) 塩分(S)
以上については、HYDROGRAPHIC DATAと同じなので、それぞれ参照のこと。ただし、浅海(Shallow)の塩分は異なり、水温と同じ方法でCTDの記録から転記した。
- (d) 懸濁態有機炭素(POC),懸濁態有機窒素(PON)
- 6〜7リットルの海水を25mmGF/F(事前に450℃、4時間熱処理したもの)で濾過し、冷凍保存。持ち帰りPerkin-Elmer PE2400CHN, AD-6を用いて測定した。
(3) データの処理
各項目の有効桁数及び処理方法は,下表に示すとおりである。なお,水温(T)の浅海(CTDにより測定)と塩分(S)については,有効桁数は小数点以下3桁までだが,小数以下5桁目を切り捨て4桁目まで記載した。
項 目 単 位 有 効 桁 数 P
104Pa (db)
小数点以下1桁(四捨五入) T
℃
表面海水:小数点以下1桁 NH92-2のmiddle:小数点以下2桁
その他:小数点以下4桁(切り捨て)
S
−
小数点以下4桁(切り捨て) POC
μgC/l
有効桁数3,小数点以下1桁(四捨五入) PON
μgN/l
有効桁数3,小数点以下1桁(四捨五入)
(4) 備考
POC/PONの分析結果については、分析結果の確認手段がないのですべての値を掲載した。また、フラッグも記載していない。
分析結果一覧表のShallowについては、単独キャストで採水を行ったので、採水時の水温・塩分を記載したが、MiddleおよびDeepでは他のHYDROCASTと同時に採水したので記載を省略した。
表−1 ファイル名の説明 航海 ファイル名 調査範囲 NH92-2 N922SP.xls Shallow N922MP.xls Middle NH93-1 N931SP.xls Shallow N931MP.xls Middle NH93-2 N932SP.xls Shallow N932MP.xls Middle N932DP.xls Deep NH94-1 N941SP.xls Shallow N941MP.xls Middle N941DP.xls Deep NH94-2 N942SP.xls Shallow N942MP.xls Middle N942DP.xls Deep NH95-1 N951SP.xls Shallow N951MP.xls Middle* NH95-2 N952SP.xls Shallow
- 調査範囲
- Shallow:浅海(表面〜300m)
- Middle :中層(300〜3000m)
- Middle*:中層(300〜海底上)
- Deep :深層(3000〜海底上)